2023年10月28日(土)、NPO法人女子中高生理工系キャリアパスプロジェクトは、国際ソロプチミストオンライン鹿児島様との共同主催、鹿児島大学様および鹿児島大学アカデミーロータリークラブ様との共催で、理工系進路を考えている女子中高生の皆さんと理工系の様々な分野で活躍する女性科学者や技術者の皆さんとが夢や進路について語らうイベントを、鹿児島大学学習交流プラザ(鹿児島大学郡元キャンパス)において実施しました。
開講式およびオリエンテーションの後に行われた「キャリア講演」では、鹿児島県内にて科学・技術の研究や開発を行っている株式会社新日本科学の川畑藍香さん、株式会社トヨタ車体研究所の久冨あすかさん、株式会社ワイズプラスの森好子さんから、学生時代の体験や現在の生活・仕事のことなど理工系進路の魅力について講演いただきました。
最初は緊張気味だった参加者からも時間が経つに連れて笑みがこぼれ、また積極的な質問も出されました。約1時間半の長時間にわたる講義でしたが、将来理工系で学ぶこと、働くことの意義や理工系進路の多様性についての理解を深める貴重な機会となりました。
昼食を挟んだ午後の最初のプログラムでは、サイエンスアドベンチャーⅠ「ミニ科学者になろう」と題し、参加者が4つのグループに分かれ、鹿児島大学の教員のガイドで、本格的な科学実験に取り組みました。どの実験も非常にレベルが高いものでしたが、参加者のみなさんは教員や学生TAの熱心な指導により、それぞれの実験に真剣に取り組んでいました。また、単に手を動かすだけではなく、教員と一緒に結果や意味について一緒に考察することで、最新の科学技術に対する理解を深めることが出来ました。
続いて、参加者たちはサイエンスアドベンチャーⅡ「技術者や先輩と話そう」 とサイエンスアドベンチャーⅢ「自分の夢をみんなに伝えよう」に取り組みました。
まず、前半のサイエンスアドベンチャーⅡ「技術者や先輩と話そう」では、キャリア講演でお話し頂いた方たちに加え、鹿児島大学の志水倫子さん(総合内科専門医)、酒見はる香さん(天の川銀河研究センタープロジェクト研究員)、田島彩音さん(理工学研究科大学院生)、加治屋勝子さん(農学部教授)、佐藤南帆さん/清水花乃子さん(学部生(工学部))にも加わって頂き、自分の夢や将来やりたいこと、興味があることなどに関する話題を起点に、理工系進路について日々疑問や不安に思っていることについて、座談会形式での意見交換を行いました。
後半のサイエンスアドベンチャーⅢ「自分の夢をみんなに伝えよう」では、前半で付箋にまとめた自分自身の夢や気づきを元に、まずそれぞれのタイムライン(将来設計)を作成しました。その後、講師や運営関係者を含めた多くの人たちの前で自分のタイムラインを発表し、それぞれが目指す将来像についてお互いにエールを送りました。
さらに、今回の事業においては、保護者向けに女子中高生向けとは異なるプログラムを用意したことも大きな特徴となりました。
女子中高生がサイエンスアドベンチャーⅡ「技術者や先輩と話そう」 とサイエンスアドベンチャーⅢ「自分の夢をみんなに伝えよう」に取り組んでいる時間帯に並行して、保護者のみなさんには特別講演「理工系進路選択におけるアンコンシャス・バイアスについて」 と意見交換会に参加して頂きました。
特別講演でアンコンシャス・バイアスが生まれる背景や具体的な事例を学んだ後に、続いての意見交換会では、多様な人材が広く理工系分野の研究開発に参画できる社会を構築することの必要性について、参加者全員で議論しました。
1日のみでの開催という限られた時間ではありましたが、参加者の女子中高生のみなさんからは「未来の進む道が漠然としていたのだが、今回のイベントで今するべきことが分かった。」「自分の将来像をはっきりと認識することができ、とてもいい時間でした。」「講師の人たちが分かりやすく、ていねいに教えてくださってとてもよかった。」などの感想が寄せられました。
また、保護者からは「子供に対してプレッシャーになることは言ってはいけない、次世代は無限大であるということ、親のできることは小さいですが応援してあげることが1番なのかなと思いました。」「キャリア講演のお話が娘の希望している進路にあっていてよかった。」「実験も日頃できない体験ができて、私自身もすごく楽しめました。」などの感想が寄せられました。
2022年3月の静岡県浜松市での事例に続き、首都圏以外での本格的な女子中高生を対象とした理工系進路選択支援事業の実施は二度目の経験でしたが、アンケートからも総じて高い満足度を得られたことを確認できました。特に、実際に理工系進路を選択した女性研究者・技術者、大学院生・大学生から直接話を聞くことが出来る「キャリア講演」やサイエンスアドベンチャーⅡ「技術者や先輩と話そう」の満足度が非常に高かったことは印象的でした。また、事業の継続実施を望む声が多く聞かれる一方で、より多くの女子中高生が参加出来るように学校行事と重複しない時期を慎重に選択すべき、などの意見も聞かれました。
最後に、本事業の実施に当たっては、公益財団法人ノエビアグリーン財団およびアジレント・テクノロジー財団からご支援を頂きました。また、講師選定や企画運営全般に当たっては、鹿児島大学サイエンスカフェ有志の会のみなさまのご協力を頂きました。改めて本事業の実現にご尽力いただいた多くの方々へ深く感謝申し上げます。
なお、今回のワークショップの様子は鹿児島大学様のホームページにも掲載されています。
・鹿児島大学ホームページ(2023年11月2日掲載記事)https://www.kagoshima-u.ac.jp/topics-education-students/2023/11/post-1904.html